日本でも貧困問題、格差社会が浮き彫りになってきている

1.日本の貧困問題を考える

日本はこれまで貧困問題や格差社会とは無縁のものと考えられてきました。
古くは1億総中流と言う言葉もあり、国民がすべて中程度の文化的な生活水準を維持できると考えられていたのです。

しかし近年では年収の非常に高い人が存在している反面、仕事に恵まれず貧困生活を行っている人も増えているのが実態で、さらに学歴やその他の能力の違いにより生活水準の違いが非常に顕著になっている傾向があります。
そのため、格差や貧困が非常に目立つ状態となっている傾向があるのです。

その要因には様々なものが考えられますが、1つは大企業と中小企業の様々な環境の違いによる格差の広がりが大きくなっていることがあげられます。
大企業は国策にも恵まれ安定した経営を継続することができる環境が整っており、また税制にも優遇されていることから社員の給料が非常に高く経済的な成長も見込まれています。

しかし中小企業は大企業の下請け的な業務を行っていることが多く、特に不景気の現在においては大企業がその利益を守るために様々な問題を中小企業に押し付け、高い代償を払わせていることが社会問題となっているのです。

2.圧迫される中小企業

具体的には円安の際に様々な部品の材料を輸入する価格の損失を中小企業に吸収させ、大企業はこれを行うことができない中小企業との取引をやめることで中小企業の経営を圧迫するような施策を行っていることが少なくありません。
そのため大企業の社員と中小企業の社員との給与の格差は非常に大きくなっており、またこれが要因で倒産する中小企業も非常に増えていると言う実態があるのです。

さらにインターネットなどの普及により効果的に広告宣伝を行い自らの業務を効率よく進めることができる能力を持った企業は短期間で急成長する傾向が強まっていることも要因として挙げられます。

一時期ITバブルと呼ばれたIT企業の台頭は現在でも進んでおり、短期間で効果的なビジネスを行うことで多くの利益を集める仕組みとなっています。
これらの企業も基本的には大企業のビジネスモデルと同じで取引先の企業に対して自由競争を行いより高い利益を自社に与える企業を選ぶほか、この企業に対してさらに高い利益を上げるように強要しこれができなければ取引を打ち切るといった戦略的な方法によりその利益を高めている傾向があるのです。

3.行き過ぎた資本主義経済の問題

現代社会においてはその競争が非常に激しくなっており、この競争に勝つことができない企業は淘汰されその社員は路頭に迷ってしまう状況が生み出されています。
これらのことが日本における貧困や格差を大きな問題としている要素となっている事は否定できません。

資本主義においては自由競争は必要不可欠なものであり、これにより淘汰される企業が存在することも当然のことといえます。
しかし1部の企業が利益を独占するほか国策に連動し過剰に利益を上げる事は本来の資本主義の原理からは外れるものとも考えられ、大きな問題となっていることが少なくありません。

現代の日本には高度成長期とは異なりものを作って簡単に販売することができる時代ではなくなっていることも要素の1つですが、バブル崩壊以降その経験を過剰に受け止め自社の利益を守るために他社の利益を奪い取る傾向が強まっていることも事実となっています。

従来の日本に比べ非常に競争が激しい状態となっており、この競争に勝つことができる者だけが高い利益を得ることができる構造となっているのです。
そのため、従来に比べて現代の日本は非常に格差が激しくなっており、これに伴い十分な生活の糧を得ることができない人が困窮した生活を送ることになり、その様子が増えていることが現代の日本の大きな問題となっているのです。